東北大会観戦記


 

十人十色の努力の結晶が水面に輝いていた———。6月5日、宮城県利府町のセントラルスポーツ宮城G21プールで開催された「第26回東北身体障がい者選手権水泳競技大会」。各地区大会の中で最初に行なわれる本大会は、7月のジャパンパラ水泳競技大会、11月の日本身体障がい者水泳選手権大会の予選を兼ねた大会であり、参加標準記録を突破すればこの2つの大会に出場することができる。

 

先陣を切ったのは男子200m個人メドレーの大島茄巳琉(S10・栃木とびうお)。中学1年生ながら、大会記録に迫る力強い泳ぎを見せた。本人は「いいタイムは出てない」と納得はしていなかったものの、「水泳は楽しい」と笑顔で話%e6%9d%b1%e5%8c%97%ef%bc%91した。男子100m自由形の第2組に登場した冨樫航太郎 (S6・北海道身障SC)は「気持ちで持って行った」という泳ぎで大会新記録をマークした。しかし、「もうちょっと伸びると思った」と話し、これからの活躍に期待を抱かせてくれた。

 

 

%e6%9d%b1%e5%8c%97%ef%bc%92続いてインタビューしたのは男子50mバタフライに出場した三井隆汰 (S6・峰村PSS東京)。同じチームに所属する田中正幸 (S6)に惜しくも及ばず2位となったが、「ジャパンパラに向けて課題が見えてきた。自分の泳ぎをしていい結果が出るように努力していきたい」と語った。

 

最後に話を聞いたのは、大会の最後を飾る競技200mリレーで優勝した東京DACチームの山内七重(S8)、蔵重ゆかり(S15)両選手。第1泳者の増山一雄 (S21)の作った大きなリードを保っての勝利にホッとした様子だった。聴覚障がいは泳ぐということに支障がないように思えてしまうが、大きい不安を持って臨んでいるということが初めて分かった。

クラス分け 

種目ごとに選手が泳ぎ順位もつく。しかし、ほとんどの選手が金メダルを獲得している。参加人数が少なく、種目数が多いということもあるが、それ以上に障がいの種類や程度によってクラス分けされていることが大きな要因だ。そのクラスごとに順位を決めるため、金メダルを獲れる選手も増えてくる。それが選手のモチベーションになっているのかもしれない。ベテランの選手も多数見受けられるのも、「体力の限界まで楽しんでやりたい」という気持ちが強いからに違いない。各選手にフォーカスを当てると、同じランクに属していても障がいのある部位やその働きがそれぞれ異なるのがわかる。逆に素人目には同じ障がい%e6%9d%b1%e5%8c%97%ef%bc%93を持っているのにクラスが違う、選手たちを比較して障がいが軽そうな選手の方が実はクラスが上、ということがある。しかし実際泳ぎを見るとやはりスピードの差というものが出てくるものである。このように障がいの度合い、障がいのある部位が違うため、各選手の泳ぎ方には特徴というものが現れてくる。それが十人十色たる所以だ。

さらにこれらの地方大会では年齢別の区分けはない。経験と体力が大きく結果につながってくる。それでも小学生くらいの若い選手と還暦を超えているようなベテランの選手が同じプールで、時に対等に泳ぎ合う姿はパラ水泳特有なのかもしれない。

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今大会では大会新記録が41個更新された。時代が移りゆく中で新しい泳法の技術の進歩もあるが、大会に参加する選手が少しずつ成長していることも大きいだろう。今はまだ若い選手たちが、さらに伸びていき4年後に東京で歓喜の瞬間を迎えられたら嬉しい。選手たちのオンリーワンにも注目したうえで、この先を見ていきたいと思う。

 

記:広報インターン 尾崎 崚登(慶應義塾大学慶應スポーツ新聞会)